研究班(AMED動機付け支援)
壮年期就労者を対象とした生活習慣病予防のための動機付け支援の技術開発に関する研究
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【研究の背景】
2008年度よりメタボリックシンドロームの概念を活用した特定保健指導が開始され、2016年3月の厚生労働省WG報告では、動機付け支援に参加した群では非参加群よりも翌年度以降情報提供レベルへの改善が10%ほど高く、服薬移行率が低いことが示されている。
しかし、2017年度特定保健指導の該当者490万人中、保健指導終了者は96万人(19.5%)にとどまり、保健指導実施面における効率化や改善策が求められている。効果的な保健指導ができる高いスキルを有する専門職の養成が求められているが、マンパワー不足の課題もあり、保健指導を補完する教材・ツール開発にも期待が寄せられている。とくに就労者では保健指導時間の確保が困難な状況もあることから、対面指導の中で必要な要素を分析し、それらを組み込んだ指導ツール開発も必要と考えられる。
【本研究班について】
壮年期就労者を対象とする動機付け支援プログラムとして、面接を優先的に行う必要がある対象者の抽出法、およびICT等のツール・教材を活用した効果的な保健指導技術の開発を目的とする。壮年期就労者を対象とした動機付け支援の既存データベースを分析し、面接を優先すべき対象者の抽出法、面接を補完する要素を分析する。この知見等を活用し保健指導支援ツール・教材を開発する。モデル的に動機付け支援を実施し、減量効果や行動変容等を既存介入と比較、評価に基づき開発したプログラムを改修する。
Ⅰ.既存データの分析
a) 保険者統合データベース:
2017年度特定健診を受診した壮年期就労者(40-64歳)のうち、動機付け支援該当者を抽出する。抽出された対象者について、所属事業所・保険者・保健指導実施機関に関するデータおよび対象者個人に関するデータと1年後の減量効果・階層化判定改善効果との関連を分析し、①面接を行うことで効果が表れる対象者層、②面接を行っても効果が乏しい対象者層、③積極的支援や薬剤へ移行する対象者層、④面接を行わなくても効果が出る対象者層の4グループに分け要因を分析、さらにAIを用いた解析を行う。
b) 保健指導機関統合データベース:
5つの保健指導機関において、2017年度または2018年度に動機付け支援を受けた壮年期就労者を抽出し、保健指導機関データベースを構築する。
Ⅱ. 改善プログラムの開発
保険者統合データベースと保健指導機関統合データベースを分析することによって得られた情報や、 科学的エビデンス、医学的知見等をもとに、対象者層ごとに効果的なプログラムを提供するための抽出条件や優先的に面接すべき対象者の抽出等を検討する。
層別化分析、多変量解析やAIアルゴリズムに基づいた抽出法を用いて、動機付け支援対象者を面接の優先度に応じて①面接を行うことで効果が表れる対象者層、②面接を行っても効果が乏しい対象者層、③積極的支援や薬剤へ移行する対象者層、④面接を行わなくても効果が出る対象者層に分類し、①に対しては従来の手法を継続して適用し、②と③に対しては新たに開発した手法(特性に合わせたプログラム、面接・指導者の補助教材)を活用し、受診推奨や医療連携を行う。
Ⅲ.実用化の検討
開発された技術を用い、2020年度に新規プログラムによる動機付け支援を約1,000例実施する。保険者に対しては優先的に面接すべき対象者の抽出や効果的なプログラム選定を、保健指導機関には、開発したツールや教材、プログラムを活用した保健指導の実施を依頼。減量効果や検査値改善等をpropensity score matching 法にて、既存介入と比較する。
介入3か月後の評価結果を用いてモデル実証を分析・評価し、プログラムを改修する。
![研究班(AMED)ダミー 研究班(AMED)ダミー](http://ktsushita.com/wp-content/uploads/2021/11/amed-1.png)
【研究組織】
女子栄養大学 津下 一代、林 芙美
名古屋大学 尾上 剛史、西田 一貴、早瀬 絢香
筑波大学 中田 由夫
慶応義塾大学 医学部 岡村 智教
新潟大学大学院 加藤 公則
聖隷健康診断センター 武藤 繁貴
一般財団法人京都工場保健会 森口 次郎
国立保健医療科学院 丸谷 美紀